食道発声法の上達(技術的なこと)

呑み込み法から吸引法へ
(1998年12月25日記)

食道発声の種類は大きく分けて「呑み込み法」と「吸引法」があります。
「呑み込み法」はお茶の力を借りて空気を食道内に入れる「お茶呑み法」と舌の力で空気を食道内に入れる「注入法」があります。
(初心者は「お茶呑み法」が最適)

 この「呑み込み法」は術後まもない人が食道で音が出せるという感じをつかむためのものです。
ですから「呑み込み法」で原音が出て、母音が発声できるようになったら「吸引法」に切り替えた方が食道発声の上達の近道なのです。

 「吸引法」の練習の当初は、いくら練習しても「うん」とも「すん」とも音がでません。ですからこの先、練習していて果たして音が出るのかどうなのか不安になり、あきらめてしまい、今までやってきた「呑み込み法」に戻ってしまいます。

そうならないためにも「吸引法」の理屈を知ることです。
その理屈を知ることによって、誰でもできることがわかり、不安が一掃されます。さらに、「吸引法」は自分にも必ず出きるという確信がもてるようになり、練習が長続きします。

その理屈(原理)を簡単に述べます。
吸引法は気圧の差を利用します。胸と腹との境界となっている横隔膜を意図的に下方に下げると同時に気管孔から空気を吸います。
すると胸が広がり、それによって食道壁が外に引っ張られるます。
そのため食道の内圧は下がり、その結果、内圧差をなくそうとして空気が口(鼻)から食道内に流れます。これが「吸引法」の考え方です。

たとえば、注射器で考えてみます。
注射器(食道内)のピストン(横隔膜)を少しずつ外に出すと、注射針(口、鼻)からアンプルに入っている薬(空気)が注射器(食道内))吸引されます。

吸引式の練習は、お腹をへこましたり出したり(横隔膜の運動)して、空気を自然に食道内に入るようにそのタイミングをつかむことなのです。
練習前に呼吸の調整が必要です。

それは胸も腹も大きく膨らましたり、小さくする深呼吸の練習。この練習のよって胸と腹との境界にある横隔膜という筋肉の運動を活発にします。
両手はお腹に当てて背筋をも伸ばし気持ちをゆったりとします。

 私の経験を述べます。
術後3週間後(入院中)に独自に「呑み込み法」をはじめ、あまりの雑音のひどさにその方法に幻滅し、「吸引法」に切り替えました。
でもそのやり方が吸引法なのかわからないで本を見て試行錯誤的にやっていました。

最初のうちは原音を出すのに100回やって1回ぐらいしか成功しませんでした。 次の日はいくらやっても成功しませんでした。前日にできたのは夢なのかと思いました。そんな状況を幾度も繰り返し練習してきました。
そして、2週間もすると20回ぐらいで1回ぐらい割合で原音の発声に成功するようになりました。

今では空気を吸引するという気持ちがなくとも自然に空気が食道内に入ります。 丁度、子供が自転車を覚えるのと同じで最初は難しいですが一度覚えてしまえばもう忘れません。

「呑み込み法」で原音が出たらすぐ「吸引法」に切り替えましょう。
1日おそいとよけいに覚えるのに時間がかかります。