舌がんの手術後

入会 R2-1   76歳(食道再建)
昨年12月に舌がんで合わせて三度の手術後ですが、食事は時間をかけて嚥下しても中々胃まで下がるのに時間を費やします。
現状はELで練習していますが、放射線照射の為、首周りの発音部が固くて上手な発声音にならない様です。体調は気にならない程度です。

(令和5年:神奈川銀鈴会会報50号)

顧問回答;
深刻な問題です。食道再建だけでなく、舌癌の手術もされ、放射線治療もされている。舌癌切除の後遺症を理解するには、舌の機能を理解する必要があります 。飲み込む(嚥下)機能、言葉を作る(構音)機能です。
それらの機能がどの程度低下したかを評価する必要があります 。さらに胃袋を吊り上げ咽頭とつなげた部位に吻合部狭窄がおきている可能性も考慮されます。
また放射線治療による手術部位の炎症が吻合部狭窄を増悪する場合もあります。
手術、放射線の両方の炎症が狭窄の程度をひどくすることがあります。
首のリンパ節転移を予防するために、頸部の広い範囲に放射線治療を追加する場合があります。
照射範囲が広くなると、放射線の炎症も広くなります。
頸部の手術と放射線の瘢痕の程度が進行すると首が締め付けられる感じ、違和感のようなものを感じる方がいます。
そこで最近は画像診断の進歩により、病変の部位を正確に診断できるようになりました。 また放射線を必要な場所に集中して十分な放射線量をかけられる器械が開発されました。放射線の照射範囲を狭め、必要な部位に放射線を限定することで、術後の炎症と瘢痕を少なし、治療後の後遺症を減らすだけでなく、治療成績も向上することが期待されています。 少しでも治療成績を向上するために予防的な治療の追加が考慮されことがあります。
予防的な治療を追加すれば、治療成績が向上する可能性はありますが、 副作用や後遺症を増加する危険性もあります。
私は予防治療に慎重な立場です。予防治療の生存率の向上が確認されれば、危険性があっても追加することが考慮されますが 、過去の臨床試験で効果が検証されていないなら、追加治療を回避し、後遺症を少なくしてQOL(生活の質)の維持を優先すべきと考えています。 人間の命は限られています。その意味では生存率はゼロに収束します。
したがって生存率の向上の試みが大きな犠牲をともなう場合は、なるべく後遺症を減らして今日を快適に生きることを大切にしようと考えるようになりました。
治療後2から3年後の生存率を向上するなら、犠牲を強いても生存率の向上を優先する選択肢はあります。 しかし命にかかわる病気はがんだけではありません。
脳梗塞、脳出血、心筋梗塞などの死亡、さらに一つのがんを克服しても別のがんが発症して死亡する場合があります。 それぞれの寿命の問題ととらえるべきかもしれませんが、治療法の違いで、3年を過ぎて、5年先、10年先の生存率を大きく向上させることは難しいのが現実です。 繰り返しになりますが、がん治療で重要なのは、いかに今の生活を良くするかを考慮すること、重複がんを予防するために生活習慣を如何に変えていくかにあります。 よくがんは遺伝だという方がいますが、40歳を過ぎてがんになるのは遺伝ではなくて生活習慣と説明しています。
喫煙や飲酒による発がんはよくご存じだと思います。 飲酒の発がんの原因は、アルコールの最終産物であるアセトアルデヒにあります。
下戸でも飲酒を重ねると、アルコールをアセトアルデヒドに分解する酵素は増えお酒が飲めるようになります。しかしアセトアルデヒドを分解する酵素は遺伝的に決まっていてアジア人は少ないです。したがって飲酒による発がんは欧米とアジアで大きな差があります。特にアルコール発がんしやすいのは、飲み始めのときに顔が赤くなる方で、アルコール発がんに注意が必要です。昔は酒一合以内であれば発がん性は少ないとされていました。しかし最近の疫学調査では、顔が赤く 術後の対応(食道発声の部)


痰が詰まり呼吸が苦しい


  入会 R1-9  88歳  (単純喉摘・シャント) 
   @ 痰が詰まり呼吸が苦しく死にそうになったことがある。
このような場合、どう対処すればよいか?
   A 肺マック症の持病がある。どのようなことに気を付ければよいか?
   B 痰が常に出るの