シャント発声のあれこれ

入会:H一八年四月 手術:H一八年二月   五三歳  上級
「シャント発声について」
本来食道発声を訓練する場に於いて質問すべき事ではないかも知れませんが、 ここ近年関東地方でもシャント発声をする為の手術傾向が多くなって来ていると思われますが、下記の件について御教示いただければ幸甚です。
@ シャント発声の仕組み
A 神奈川県内で手術を行っている病院
B シャント発声(手術後)の維持費、手術費
C 主流(必要器具:プロボックス等)となっているメーカ
D その他の注意事項について

最初にも記述しましたが、教室は食道発声の場ですので、簡単で結構ですので、御回答戴ければと思います。

(平成26年:神奈川銀鈴会会報41号)

これは皆さんも非常に興味を持っておられると思いますが、シャント発声の仕組み、について順番にお話しします。

シャントと言うのは“横道を作る”“路線を切り替える”ということです。
電車のレールを切り替える転轍機と同じ役目です。
喉摘者では気管孔から吸気が入り、気管孔から呼気が外に出てしまいます。

食道発声では、呼吸とは別に、鼻や口を使って空気を取り込んで食道に入れて、それで食道の壁の出口のところに当て震わせて声を出します。
食道発声は取り込んだ空気だけを使って声を出すので、いかに空気を取り入れるかが、一番難しいといわれます。

一方、シャントと言うのは、気管孔の後ろの壁に穴を開けて食道に繋げ、そこにチューブを入れます。
そして息を吐こうとする時に、指で気管孔を押さえると呼気が食道に行くので、その呼気を使って食道の壁を震わせて声にしようとするものです。これがシャントの仕組みです。

つまり何がポイントかと言うと、息を吐く時、気管孔から外に出していた空気を使って食道発声をする、ということで、食道の中に空気を入れなくて済む点です。
声の出る場所は、食道発声もシャント食道の中ですが、今まで通り、呼気を使っての発声で済むのがメリットです。

神奈川県内でシャント手術をする病院は、これまであまり多くなく、関東地区で一番沢山やっておられるのは有明の癌研です。

神奈川県内では、東海大でもおこなっているかも知れませんが、横浜医大でも最近始めました。
気管孔から食道に向かって穴を開けてチューブを通しますが、そのチューブは、入れた後抜けたら困るので抜けないような構造になっています。

また一つのチューブを長期にわたって使えるものではなく、 三 ケ月に一回位で交換しないといけません。
また、いろんな汚れが付着するので自分で毎日掃除をしなくてはいけません。
とにかくお金が掛る、保健でも毎月数万円程度掛るのではないでしょうか。

自分の手間と病院の費用が掛かるのがデメリットです。
もう一つは、食べたり、飲んだりした時に、チューブの周りから漏れてくる可能性もゼロでは無く、そうなるとチューブの周りが爛れてきたりして、外さざるを得なかった例も報告されています。

デメリットも有るが、食道発声ほど練習はしなくても良いのはメリットでしょう。
もちろん、ある程度の練習はしなくてはなりません。本件についてメーカ等の資料を質問者に差し上げますけれども、現在、日本で販売を独占している会社はセイユウとアストメデイカルが合併した、アストメデイカルセイユウという企業です。

商品名はプロボックスで、その販売を一手にやっています。ホームページにアクセスして見て下さい。
注意事項は、手入れと部品の交換、やはり練習はしなくてはならないことなどです。

東京の銀鈴会ではシャント発声のクラスを作りましたが、まだ参加人数は少ないです。
外国ではシャントは多いですね。
日本に比べるとそれだけ普及しているのですが、先ほど言ったような問題がゼロでは有りません。チューブを折角入れたのに駄目だったという人もいます。

なお、食道発声が上手くいかないから後から手術をすることも可能です。
将来的には日本でも普及するであろうと思います。

(専門医)