感染予防のマスク

入会 H28-9 67歳   (咽頭・単純喉摘)
@ 新型コロナウイルス感染予防必需品マスクについて
我々“喉適者”は24時間365日気管孔プロテクターを常用しています。
今更ですが喉摘者が口元と鼻を覆うマスクの必要性についてご教示お願いします。
そもそも食道発声での飛沫は殆どなく、あっても微量と思います。
また、呼吸も気管孔からしています。もちろん社会(周囲)の反応(目)もあるのでマスク着用はMUSTですが、喉摘者にとってのマスク効果(必然性)はどうなのか正直疑問に思っています。
A 昨年、精密検査時に【逆流性食道炎】と診断され、薬を服用していますが、
今でも、稀に胃酸が口元まで逆流することがあります。 食道発声と何か関連しているのでしょうか
B 痰と鼻水について
発声練習、運動、食事後等の際に時に痰がよく出る、出過ぎますが何か原因有るのでしょうか。
痰が詰まり息苦しく、むせる時など痰を思いっきり、いきんで出しにていると、
鼻水がダラダラ〜っと、よく出て慌ててふき取ってい ますが、何か原因があるのでしょうか。
C 吸入(ネブライザー)について
ネブライザーを使用していますが、その効果と必要性の有無について教えて下さい。
また、他に同様の効果のあるものがあれば教えて下さい。
D 吸引器について
入院時には病院で使用していましたが、退院後は使用していません。
痰は自力でいきんで吐き出しています。今のところ問題ありませんが将来必要になるか心配です。
ご高齢の方はどう対応されているのでしょうか、状況(必要性があれば)によって使用方法の復習と準備を していきたいのでご教示お願いします。


(令和4年:神奈川銀鈴会会報49号)

回答@:マスクは空気を加湿することでウイルスの増殖を防ぐ効果が期待されますが、
主たる役割は自分の飛沫を飛ばさず、他人にウイルス感染を広げないことにあります。
人を思いやる気持ちを表しているものと考えてください。
確かに食道発声の方の飛沫は少ないと思いますが、全くないわけではありません。
マスクは着用してください。最近はマスクで防ぐことが難しい空気感染の可能性も指摘されてきました。
部屋の換気にも気をつけてください。
感染予防としてマスク着用、ワクチン接種以外に当初からの喧伝されてきたソーシャルディスタンスの確保(最低1m、できれば2m)、手洗い、眼鏡の装着をお勧めします。
回答A:逆流性食道炎は下部食道括約筋の締まりが悪かったり、
胃が食道に滑り込んだり(食道裂肛ヘルニア)して、胃酸が食道に逆流し易くなると発生します。
また腹圧の高まりも胃酸を逆流しやすくします。
暴飲暴食、就眠直前の飲食、炭酸を含む飲料、肥満などが誘因となります。
これらのことに注意していただければ食道発声は大きな要因とはなりません。
症状がきつければ就寝時に胃酸を減らす薬を内服することで軽快します。
回答B:アレルギー性鼻炎、気管支喘息により、痰、鼻水の分泌が多くなる体質と思われます。
温度や湿度の環境因子の変化、アレルゲンなどに過敏に反応しやすくなっています。
発声練習で空気を吸い込むと、鼻、気管、肺の粘膜が刺激され痰と鼻水が多くなります。
食事も冷たいものより暖かいものの方が誘発され易いと思います。
不快であれば抗ヒスタミン剤、抗ロイコトリエン剤の内服で軽減します。
回答C:ネブライザーの一番の効用は気管、気管支を潤すことです。
鼻呼吸であれば、加湿された空気が気管に到達しますが、永久気管孔では乾燥した空気が直接気管に届きます。気管が乾燥すると炎症を起こしやすくなり、円滑な痰の排出を障害します。
同様な効果を期待できるものとして、十分な水分を摂取し身体の内部から気管を潤すこと、
部屋の加湿、フィルターのついたカニューレなどがあります。
回答D:ご自身で気管孔まで排痰できるのであれば吸引器は必要ないと思います。
加齢により肺機能が低下し気管孔まで排痰できないと痰を機械で吸引する必要がでてきます。
まだ心配ないと思いますが、参考までに痰の吸引の注意点についてお答えします。
吸引器を購入にするかリースにするかは各施設に相談ください。
喀痰の吸引は清潔操作となるので、清潔な手袋を装着しディスポーザブルのチューブで吸引する必要があります。
吸引チューブを頻回に使用すると、気管の粘膜を傷つけます。
気管、気管支の損傷は炎症をまねき、痰が増え、血痰が付着しやすくなります。
痰をできるだけ気管孔周囲まで排痰できるようにし、気管の奥までチューブを挿入せずに痰の吸引ができるようにすることが大切です。
加湿して痰を柔らかくする、アレルギー疾患があれば内服や吸入などで過敏な気管支の免疫反応を減らし痰の量を減らすなどの工夫が必要です。
痰の吸引の方法は、ご家族も含めて各施設で指導を受けてください。

(専門医)