インフルエンザの対策

入会:H二四年十月 手術:H二四年九月   六五歳 中級
本年はインフルエンザの流行が報道されていますが、我々が予防するには
手洗いと、うがいをよくする様に言われますが、うがいが上手く出来ないので どのような対処方法があるのでしょうか。

また、食事等で匂いを感じられないのですが、何が原因でしょうか、
どの様にすれば、嗅覚・味覚が回復するか、医学的に教えて戴けませんでしょうか。

(平成26年:神奈川銀鈴会会報41号)

ウガイ、手洗いが重要でありますが、食道発声の方でウガイが出来る人は、かなり食道発声が上手い人です。

ウガイは上を向いて喉の奥から空気を押し上げなければならないので、非常に難しいのです。
上を向いて出来ない場合は、口の中をウガイする方法でやれば、口の中は奇麗になります。

それとは別にマスク(気管孔にはエプロン)を用いると、かなりプロテクトが出来るでしょう。
一般に手についたビールスが口周辺を触ったりして口の中に侵入し、インフルエンザに罹ることが多いと言われています。

予防注射を受けていても、罹るのを防げるとはいえませんが、少なくとも症状が軽くなるので、皆さんも是非予防注射を受けられることを勧めます。
やはり手洗いが最も重要な事で、ウガイはあまり気になされる必要はありません。
しかしウガイと言うのは、実は食道発声上達のコツの一つですから、ウガイを少しずつ練習し、トライするのはよいことです。チャレンジして下さい。

余談ですが、口の中にある物が肺の中に入ることは喉摘者では絶対に有りません。
ウガイを飲み込んでも問題ありませんし、練習自体は大変結構なことですから実行してください。
嗅覚の事ですが、なぜ匂いがしないのかと言うと、匂いを感じる細胞が鼻の天井に所に在るので、鼻から息をしなければ匂いがわからないのは当然のことです。

嗅覚の回復の問題ですが、鼻の中に空気を通せば良い訳ですから、一番良いのは食道発声が上手くなって、
吸引法をマスターして鼻から空気を吸い込むことが最善の方法で、食道発声が上達された方、指導員の方は匂いの障害をあまり気になされません。

手術後に鼻から息を吸い込むということは中々難しい事で、味と言うのも匂いと密接な関係が有りますから、嗅覚が回復しないと味の感覚の回復にも時間がかかるでしょう。

匂いを取り戻す一つの方法は、食道発声時に、口の中にある空気を鼻の中に押し込むようにして送る方法で、こうすると匂いを感じることも出来ます。
匂いを感じる細胞も放って置くと萎縮して来ますから、たまには使ってやる事も大事な事です。

そのようなわけで、口の中の空気を鼻に通すことも必要です。是非リハビリをやって下さい。

味の件で追加しますと、X線照射を受けておられると、味を感じる細胞も照射される場所に近いところにありますから、かなり害を受けるので、味覚の回復は遅くなります。
それと年齢的な感覚の低下もあり得ます。

(専門医)