シャント追加手術

(質問 平成十二年十一月に空腸移植手術を受けまし た。首を手で抑えて発声していますが、抑え方 が悪いと発声も空気の吸入も出来なくなりま す。シャントは気管孔を指で塞いで、肺から空 気を食道に注入できるそうです。 また、シャント手術を追加で受けることも出 来るそうですが、手術すべきか迷っています。 EL も片手を使いますが、シャントによる音質 が一番良い様に感じています。 食道再建者でも奥にこもった不明瞭な音質 が、高音で明瞭な音質の発声が出来るようにな るのであれば、このまま努力を続けるつもりで す。

(平成16年:神奈川銀鈴会会報31号)

最近、下咽頭癌が多くみられるが、手術の目的 の第一は、息をする事、食べる事であり、そのた めに小腸の一部で空腸を移植することが多くなっ ています。この様に難しい手術をするために耳鼻 咽喉科と形成外科と一緒の場合が多く、大きな手 術になっています。 空腸の移植であっても、六割の人は半年か、一 年位で中級になっています。問題はやはり指で何 処を抑えるか、これを探すのは時間が必要です。 シャン卜追加手術ですが、この意味は枝道、横 道を造ることです。所謂、息をしている気管孔に 小さい管を造り、食道に横道をつけます。そうす ると、息を吐く時に気管孔を抑えるとその横道を 通って、空気は食道に流れます。その空気を使っ て食道の入口を振動させると、肺の空気を使って 食道発声ができます。 但し、食道のある人は比較的、追加手術し易い が、空腸移植の人は難しいと思われるので良く担 当の医師と相談して、納得してから、手術をした 方が良いと考えます。 シャント手術も良いことばかりではないので、 もう少し今の発声法を練習してからにしては、ど うでしょうか。

(専門医)