舌全摘の場合、食道発声の練習は?

 私は喉頭摘出と同時に舌の全摘手術を受けた者ですが、食道発声の練習はいかがなものでしょうか

(「こえよ、いまひとたび」から)

 舌の3分の1も残っていれば、子音も出せます。発声補助具による練習を。
舌は、唇、歯、鼻腔などとともに、言葉を形作る大切な構音器官ですので、舌を根本から切除した場合には、発音が大変困ります。
例えば、タチツテト、ナニヌネノ、ラリルレロなど発音してみても舌の動きが重要な役目を果たしていることが分かりますね。
このように子音の発音にはほとんどといってよいぐらい舌が必要です。舌根部から3分の1ぐらいのこっていればまた話は変わってきますが。

 この方は食道発声の練習を行って「ア」の原音は出ましたがそれから先は無理でした。そして発声器を使用しました。
銀鈴会の集計によりますと、最近8名の喉頭、舌手術がありました。そのうち5人は入会後、消息不明となりましたが、あと3人のうち2人は笛式人工喉頭で、1人は電気発声器でお話をするようになりました。

3カ月後に会話中の口の中を覗いてみますと舌が全くないので、両側の頬の粘膜を中央に寄せたり、「のどちんこ」のある口蓋弓をはげしく動かしたりして発音していました。
ひとことひとことの正確な発音はできませんし、聞いていても理解できませんが、文章として喋っているときは、前後の言葉から連想をして、どんな内容のお話か分かりました。
このような場合は食道発声の練習よりは、むしろ発声補助具を使用するほうがよいと気がつきました。