空腸移植の発声訓練

宮城県在住の友人のことですが、62歳で4年前に空腸移植の手術を受けた後、随分苦労したにも拘らず発声がうまくならないし、また移植部分がU型に曲がっている為に食べ物が逆流したりで、現在は主に電気喉頭を使っている状態です。ついては無理な食道発声訓練を続ける事の可否、又移植のU型部分は何か適当な対処法(例えば再手術)はありませんか。

(平成12年:神奈川銀鈴会会報27号)

確かな事は解りかねますが、空腸の移植に際して、或る程度のゆとりを持たせる方法は珍しくありません。
又、移植の手術は細い血管をつながねばならないし、技術的に大変難しいもので す。従ってこの方の場合、食道発声がどうもうまく行かないし食べ物の逆流で難儀だ、等の不具合はあっても再移植は見合わせだ方が良いと思います。

さて一般論として申し述べますが、最終的には食道発声の習得が望ましい事は言うまでもありません。
しかし訓練の過程で、又或る程度食道発声(が出来る方でも時と場合に応じて電気喉頭を使うのは一向に差し支えないと思います。

つまり訓練の初期段階とか、殊にこの方の様に食道発声に対してやや不利な条件をお持ちの場合には臨機応変に電気喉頭を使って良いと考えます。

ここで、この方の質問メモにあります過換気症候群について触れてみたいと思います。
過換気症候群と言うのは激しい呼吸によって身体の中の炭酸ガスが少なくなって血液がアルカリ性に傾き、その結果手足の指先がしびれたり、冷や汗が出たり、頭がポーツとしたりと言う様な症状の事です。

初級段階の練習で余り激しい呼吸を続けると、時にこの現象に出会います。この 場合には少し練習を休む、又は軽い練習に切り替える様にして下さい。

(専門医)