<98年06月06日> 会話を楽しむ (術後1年11カ月目)

 銀鈴会の教室の発声練習の後、3人でお酒を飲みに行った。
店の中は、騒々しかったが3人で顔をつきあわせ世間話をした。喉頭摘出前までは会話をするそのものに対しては何も意味を持たずその会話の内容に重点をおいて話を楽しんでいた。
今や、会話が出来るという事が嬉しい。このことは相手の話を一語も逃さないで一生懸命に聞く態度がお互いにあり、また話をすることも一語一語大事にしているためではないかと思う。

 帰りの電車の中でも40分ばかりず〜と話をしていた。話をすることはこんなに楽しいものであるということは、声を失って初めてわかった。 さらに食道発声に磨きをかけ自分の思っていることを100%話せるようにしなくてはならないと思った。

 ちなみに現在は自分の思っていることの60%くらい声に出して伝えている。残り40%は相手に伝えたくとも声が自由にならないため、話をやめてしまう。早く、思いどうりに声を出したいがそのためには、さらなる努力が必要であると思っている。



<98年06月20日> 「な」行と「は」行

 近頃、新聞の社説を呼んでいて「は」行が少しずつ正しく発音できるようになってきた。
詳しくは、「は」「ひ」「ふ」「へ」「ほ」の順に50%、100&、98%、98%、100%の発音率である。これでわかるように「は」はとても難しい。
それは、発声するとき喉の奥の方から空気を大量に出さなくてはならないからだ。そのためには、大量の空気の吸引が必要である。

 練習方法として、「は」と発声しても「あ」と音が出るのは、喉の奥から出していないからである。
それは奥から声を出すと音としてでないから、やめて食道の入り口で振動させているのである。
そのようにしているといつまでも「あ」という音になってしまう。音がでなくとも奥の方から音を出す稽古をするといいと思う。

 まだ、空気の吸引量が少ない人は焦らないで長音の練習をしていた方がいいです。練習の目安として、「あ〜〜」と2秒間確実にいえるようになってから 始めよう。
最初は「は」と発声しても「..」と無音である。ただ空気の音がするだけである。練習していると少しづつ「こつ」がつかめるようになります。

 次に、「な」行についての発声だが「な」行は鼻から空気が大量にぬけます。言語療法士の方にお聞きしたところ「な」行と「ま」行は鼻から空気がでますと教えていただき、私が実践しているのと一致しました。
本来ならば銀鈴会で教えていただくとよく分かるのですが、私が通っている教室では理屈よりも実践を主体にしているため理論的なことは体験を通じて箇々に知らなくてななりません。
理屈は後でついてくるタイプのやりかたです。この「な」行がきちんと発音できると会話をしていても非常に聞き易いのです。
まだまだ食道発声の域に達していない我々喉摘者の発声は、音を押し出すことだけで発声してします。
すなわち空気を食道から押しだし口からその空気を出すというやり方です。だから、音は低音で、詰まったような音声で、低いのです。また、音が固く、音に高低がなく、鮮明さに欠け、メリハリがないのです。
それがすべて鼻からの空気の出入りが少なからず影響をしています。とくに「な」行と「ま」行の音に鼻から空気を出すように発声しますとそれだけで聞きやすくなります。
またよいことに「言葉」にリズムがつきます。鼻から空気が出ているかどうか確かめるには鼻をつまんで見て発声してみると良いです。この発声の心がけると、発声の苦しさから解放され術前の話し方と同じようになってきます。
私はたまにそのような状態になります。
それは何回も何回も練習を積んでいつでもできるように稽古をするつもりです。 このことは、私は「カラオケ」の練習で会得したのです。
歌詞の最後に「〜なの」と終わる言葉は必ず鼻に空気を抜くように練習しています。それが出来ると澄んだ音になることから気がつきました。

 食道発声法を会得するには次から次へと問題を解決していかなければなりません。まだまだ未解決の事項はたくさんあると思います。たとえば「き」と「ぎ」の違いなどです。
もう少しで2年になります。毎日毎日一生懸命練習をしても未だに「道なかば」です。
理屈では知っていてもそれを完成させるには大変な苦労が必要です。徹底的にこの食道発声法をやって見るつもりです。
第二の声を目指して、失った声を元の状態にもどすことを考えて、また、不幸にも私と同じように喉摘者となられる後輩のためにもそして、人間の環境への適応能力と訓練の成果がどこまで可能にしてくれるのかを見極めるためにもこの食道発声法をとことん追求するつもりです。



<98年06月26日> 2年目の発声

 声を失ってちょうど2年目である。2年目の声を「(387KB)」を録音した。(ディスクに保存してから聞いてください)