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食道発声の今後

音声コミュニケーションとしての食道発声の今後            

(平成15年:日喉連会報33号)

 喉摘者のコミュニケ」ンョン手段として普及している食道発声が広く重用 されていることは有力な手段であるからです。

 話は少し飛びますがコミュニケーションということで身辺のことを捉え ると活字の時代は500年も続いていると言われるがTVは誕生して約50年になるが 今やインターネットに呑み込まれるのではとの世評を耳にしま す。
活字の時代からTVの時代に変ろぅとするとき喉摘者のメディアとして 重要な地歩を占める食道発声について考えることは重要であると思います‥

1・現在に至る食道発声の振興努力
 日喉連が昭和四五年三月如水会館で設立した時23団体が参加し会員数は500名でした ‘会員は60才台が過半数を占める年令層であったことは今 と変わりありませんし その日喉連は設立して34年が経ち 59団体9000余名の会員を容して立派な福祉団体に生長して食道発声の 普及と振興に活動を続けています
 これまでになるには官民による長年の精進の結果が稔ったわけですが特に注目 すべき点は日本人特有努力集中型の刻苦精励という得難い国民性の賜が ぁったことをわすれることはで来ませ ん。

そして絶えざる食道発声の限界への挑戦により未開の世界を開拓し あることは素晴らしいの一語に根きるのであります。
それは無から有を産むことであって心ある人の胸を打つもの と思います。
 とは言っても物には限界があって大まで届く大樹が無いように食道発声に も限界があります。

 そこで声に対する挑戦目標を変えたのが音声の基礎的内容の転換であって その第1段が音声拡大を図るビバボイスの開発であり続いての
第2段は音質 の改善に触り組んでいるのが現状であ  ります

 食道発声の音色には個性があってそれぞれ異なりますがその中で共通して いるものは声の濁りであります喉摘者の声は描澄さに欠け不快感を与えま す。
その解決に向けて今年既に発進の テープは切られました‥二、三年後に は明るい答が出ることを期待していま すが続いて第三方面の問題に取り組み 目指すよりよい紆声の開発が拓けるこ とを信じています。

最終日標の社会参加を果たすには タクシーに乗って行き先を運転手に 明瞭に伝わろ声で話せる人が何人居ろだろうかと時折考えろことがありま す.
 社会参加を果たすには音量音質は言ぅに及ばず話の速度持続性、明瞭度イン トネーシヨン等が総べてクリアされて時其の社会参加は果たされろのであり ます。

 然し決定的な問題の1は会話に必要な空気量が少ないということです 喉摘者のそれは残念ながら僅かに80から100で極めて少ないのでありま す.このことは如何とも出来ない問題 だけにコミュニケーションを図るメ ディアとして食道発声の位置づけに決 定的な打撃となっているのであります。
 3、国民性の変化と発声努力との関 係  喉摘者の年齢層が高いことは前述し ましたが加えて戦後七〇余年が過ぎた 現花園民性の変化についても注目しな ければなりません。

戦後の30年40年頃までは戦前の教育薫陶を受けた人 が多く食道発声の勉強に必要な努力の 点については意に介することなく取り払みました.
 ところが最近の喉摘者は長いこと経 済に恵まわ右肩上りの成長の中で安易 に過した人が多くなり芳しいこと困難 なことは機力避けて通る気風に変った ことを知らなければなりません・

要は 簡単に声がでて日常生活が出来ればよ いとすろように変りつあることで  こ仙ような変化に対応する手段を採 用すべきことは当然でありますL  四、喉摘者が求めるメディアの姿は  およそ社会の凡てに絶対という言葉 はあり待ませんが発声法についても例 外ではありません。

 人工喉頭は台頭後20年を経た頃か ら、食道発声に変りましたがこれが30年余り続いた現在周囲を見ると忍び寄 るかのように近寄り育ってきたのが電気式発声器でありシヤント発声法であ ります

一部の人の中には食道発声の頭打ち を案ずろ人も居りますが肉声を通して の社会参加の道は食道発声以外にはあ りません.

 ところが術後の体質の変化によろ空 気日頃の不足を補って流暢な発声で社会 参加を図るには医術の面からする解決 しか道はありません.現代のままで当 意即妙の流暢な発声を求めることは不 可能であります‥

 そこで当面の解決案としては食道発 声と器具による発声(EL) の併用効 果を生かした合理的手段を採用するこ とが最良の方法であると考えるのであ ります‥

(名誉会長 中 村 正 司)