北鈴会の皆様へ (看護婦さんの手記)
 「学生が学んだ貴重な体験」
北海道大学付属病院耳鼻咽喉科婦長 MSさん《「北の鈴」第15号より》
 皆様、はじめまして。今年の四月より勤務交代で、O婦長の後を引き継ぎ、婦長を務めさせていただいています。

 北鈴会の皆様の御努力、御活躍には、心から敬意を表したいと思います。
 さて、北大病院には、北大医短や北海道医療大学から多くの学生が看護学の実習に来ています。

今回、耳鼻咽喉科の実習に来た学生たちは、今までに経験したことがないほど多くの感動を味わい、貴重な体験をしたといい、大きな学ぴを得て実習を終えました。
その内容を簡単ですが、お伝えしようと思います。

 学生は、先ず、患者さんとの関係づくりのためにお話をして、互いの理解を深めようと努力します。しかし、喉頭摘出や気管切開などをして、声の出せない患者さんに接するのは初めてでした。
そのため、どのようにコミニケーションを取ったらよいのか、最初、戸惑っていました。
私は、そんな学生たちに、「先ずは、自分はあなたのことを知りたいという気持をもって、ゆっくり話を聞いてみてほしい。」と伝えました。

学生たちは、戸惑いながらも勇気をもって患者さんに近づいて行きました。
息者さんは、一生懸命筆談をしてくれました。
学生たちにとって、筆談も初めての経験でした。初めはたくさん書いてくれることに、ただ喜んでいましたが、その内に書くことは話すことより時間がかかり、疲れさせてしまうと思い、疲れさせないためのエ夫を考えるようになりました。

また、自分の言葉で相手に伝えようとしている時には、例え途中で文脈から分かったとしても途中で遮らないで、

最後まで息者さんの言葉を待つ


ことが必要であること。
字を書くスピードや文字の形、書いている時の表情などから患者さんの気持ちを察し、共感することが大事であること。等、筆談を通じての学ぴがありましたo

 このような形でコミニケートしていった学生は、言語的であるか非言語的であるかの違いだけで、コミニケーションの基本は同じであると気づいたのでした。
その手段を体得した学生たちは自信をつけ、表情にも変化が見られるようになりました。このように、学生たちに看護の基本を教え、成長させてくれているのは、患者さん達のお陰だと思っています。

 実習の最終日、もう実習の時間は済んでいたのですが、喉摘予定の患者さんと家族の方が、北鈴会の方と面談を持つと聞いた学生が、是非、同席したいと希望してきたため同席させていただきました。

 普段から、物静かで、あまりお話しをしない患者さんでしたが、この時ぱかりは身を乗り出し、「手術をした後、首に穴が開いていても洋服は着られるのか。」「人エ喉頭はいくらするのか。壊れたら修理はできるのか」など、積極的に質問をする姿があり、学生は驚いていました。

医師や看護婦よりも、実際に体験されている北鈴会の方の話の方が参考になり、北鈴会の存在は患者さんにとって、精神的に大きな支えとなっていると感じたようです。

 今後とも、北鈴会の皆様には貴重な体験をもとに、これから喉頭摘出を必要とする息者さんのために、お力添えを賜りますようお願いしますとともに、北鈴会の益々のご発展と皆様のご健康を心からお祈りいたします。