食道発声法の上達(技術的なこと/初級者)

気管孔からの雑音が気になる

 食道発声で喋るとき、気管孔から「シュッ」「シュッ」と音が出て相手に不快感を与えてないか気になります。この気管孔の音を上達者はなくしているようですが、その要領を教えてください。

 声帯がまだあった頃、発声しようとすると肺からの空気が声とともに口の方から出ました。手術を受けた後、そのつもりで「ア」といっても気管孔から「シュッ」と音がするだけで口からはなんの音も出ません。

それは肺と口や鼻との連絡が手術によって失われたからです。つまり、気管孔からの雑音が大きいのは以前の発声習慣が残っているからです。
この雑音は、とくに食道発声練習の初心者によく見られます。

まずは、はじめ原音「ア」を出そうと力んだ際に、呑み込んだ空気が少ないので食道からの空気の代わりに肺からの空気が気管孔を通して鋭く「シュッ、シュッ」と雑音が出てきます。

また、かなり上達した人でも、もっと大きい声を出そうと気張ったときにもこの雑音が大きく聞こえます。
この雑音は発声練習のじゃまになりますので、出さないようにするためには、食道に吸い込んだ空気を大切にお腹にぐっと力を入れておし上げるようにします。

そして気管孔より吐き出す空気は、控えめに調節しながら「ア」と発声します。お腹から口までをひとつの円筒だと考えて、底からおしあげて声を出すのだ、といった要領でやってください。
もっと上達して本当にお腹を使って声を出している人では、気管孔からの雑音はほとんどわかりません。