食道発声法の上達(技術的なこと/初級者)

イ音がうまくできない

   私は食道発声初歩の1年生です。やっと原音「ア」が出るようになりました。つづいてイ、ウ、エ、オを練習していますが、なぜかイ音が上手く出ません。
どうしてでしょうか

 共鳴腔が狭くなるのが一因です。
発音器官を発声器官と構音器官にわけますと、発声器官(食道発声の場合、食道入り口部にあたる)で音を出して、口の中の構えの変化によってことば音となります。 母音はなかでも日本語の基礎をなす重要なもので、ア音は比較的楽に出せます。しかしイ音は発音するのにどうして難しいのでしょうか。

これについて東大の広瀬教授のトレースされた発声時のレントゲン線像によりますと、図に示したように「ア」の構音の際には、舌の筋肉は比較的ゆるみ、顎は大きく開いて口腔内は広く、咽頭は狭くなります。
以上の観察から、イ音の場合には、
(1)口腔内の共鳴腔が狭くなること
(2)咽頭部が広くなるので「ア」の場合とは様子がちがって音が出しにくい。吐出の空気がながれにくい。
などの理由から考えました。しかし、これも発声練習の最初のうちだけで、練習を積めば、アもイも同じように発音可能になります。