1. 話す技術(F指導員)

    声帯のある人健常者でも、いざ人前で何かお話をするとなると、なかなかそう簡単に行かない。ましてや我々喉摘者にいたっては、肝心の発声自体に問題があるのだから、上手に話すどころか、相手に通じていると一人よがりしても、下手をするとあまり通じてしなかったりする事になりかねない。話の内容が相手に伝わらないのでは全くお話にならない。我々は先ず相手に完全に理解してもらえることを目標に、正しい発声に心がけなければならない。お互い他人の欠点はよく判るものである。従って教室では人のふり見て我がふり直す精神を持って、自分に厳しく基本発声の練習を真剣に行わなければならない。
    銀鈴会では毎週火曜日に上級教室の人の3分間スピーチを順番に行っているが、それに備えて何日も前から皆真剣に練習を行い、結果多くの人は驚くほどの堂々たるスピーチをやってのけてしまうのである。大勢の人の前ではなすという目的意識が、漠然とした練習とは比較にならないほど大きな訓練効果を生むのである。只、元々人には話し上手とそうでない人がいるわけで。口下手な人に名スピーチを求めても無理であろうが、聞く人の心を打つ話は決して不可能ではないのである。だいぶ以前に読んだことがある本に「話す技術」について書かれていたが要約して紹介してみたいと思う。
    銀鈴会の定期総会の日に行うスピーチコンテストの参考になるかもしれないし、食道発声による本当に生まれ変わった第二の人生の明かり光明になるようにも思えるからである。

    • 最小のエネルギーで話すことである。
      試行が明瞭で力強い時は、思ったことがそのまますらすらと自然に流れて出て言葉となる。逆に思いが弱いとそれを力で押し出して、言葉にするのに多くのエネルギーがいることになり、その結果言葉が不自然に力んだり衝動的な感じになりやすい。

    • 正しい話し方をすること

      1. 気張らずに柔らかに、道筋をたてて人の共感を呼ぶように、また創造性豊かに話すこと。

      2. 間違った言葉を一つ言葉にしただけで、周囲の気に悪影響を与える。一度口から出た言葉は引っ込めることは出来ない。誤解されやすい言葉も要注意である。

      3. 不適切な言葉の百万言よりも正しい言葉の一語が大切である。

    • 調和的に話すこと

      1. 思慮分別のある言葉は、すべて聞く人に気持ちよい印象を与える。

      2. 感じたままに話すのはよいが、迂闊に他人を傷つけるようなことは言わないこと

      3. 正直の話すのはよいが、直感的に特定の人をほめたり、逆に中傷誹謗したりしない
    • 気持ちよく聞ける様に話すこと。

      1. 真実をこめて考え、話していながら出てくる言葉が気持ちよく柔らかで素直な感じになることが真の話し上手の技術である。

      2. どんな時でも辛辣な話し方をしないこと。常に丁寧、柔和、親切を旨とすること。

      3. 外に向かって気張ると、話す人の内心が緊張し、相手も心がこわばってくる。

      4. 話し過ぎたり、話し足りなかったりせず、要点を簡潔に、自然な感じで話すこと

      5. 長すぎる話や難しい言葉を無闇に使う話は、聞く人の印象を損ねるだけである

      6. 気持ちよく話す技術は、知性と感性を愛で満たすことから生まれるのである。

    最後に、食道発声の泣き所である。言葉の明瞭度、めりはり、感情を込めた抑揚に注意し、また言葉をあまりぶつ切りにしないように注意し、軽快に話すことである。




  • 食道発声が上達すると次のメリットがあります
    1. 相手との違和感
       器具をつかわないため、いつどこでも発声が可能であり、見苦しくない。話し相手に対しての違和感がない。また、いつどこでも話すことが出来る。

    2. 自然な発声
       上達すれば、その発声音は風邪を引いているぐらいに感じられる。

    3. 嗅覚の回復
       吸引法が上手になると鼻の中をとおして空気が吸い込まれるので臭いが分かります。

    4. 鼻がかめる
       鼻をかんだり、フーフーと熱いものを冷ましたりすることが出来ます。