食道発声法の上達(技術的なこと/上級者)

食道発声にアクセントの重要性

   食道発声の会話にアクセントが非常に大切ですといわれました。アクセントの重要性について、分かりやすく教えて下さい。

 アクセントは文章の中のメリハリ(抑揚)をつけ、話の内容を理解しやすいものにします。
アクセントのちがいで意味の全く違う場合があります。

 アクセントとは、分かりやすく言えば単語も意味を表すための音声の高さ、または強さの社会的な約束です。あるところは強く、あるところは弱く、またあるものは高く、あるのもは低く発音して言葉の意味をはっきりさせるためにきまっているひとつの音声上の習慣ですね。
日本語の例を挙げまてみますと、関西弁と関東弁との違い、鹿児島と東北地方でアクセントに著しく違いがあります。

しかし、ここではアナウンサーたちの採用している本来の標準語についてのべます。いま英語の辞書をひらいてみますと、それぞれの単語に必ずアクセントの記号が記入されています。たとえば次の言葉のアクセントの違いを考えてみましょう。
オブジェクト(目的語)、オブジェクト(反対する)、レコード(記憶)、レコード(記憶する)。というようにその意味が全く違ってきます。アクセントの重要なことがあわかりと思います。

さて日本語のアクセントにはいろいろのタイプがあります、
分類してみますと、
1.平型(中、中、中)、ながあめ、さかな、かぼちゃ、とまと、など
2.高低型(高、低、低)、野原(のはら)、関東(か、京都(きょうと)など
3.低高型(低、高、高)、ちから(力)、明日(あした)、瓶(かめ)、足(あし)など
4.低高低型(低、高、低)、朝顔(あさがお)、卵(たまご)、朝日(あさひ)など
 日本語でも同じ言葉で、アクセントの違いにより全く異なった意味になります。
1.神(カミ)も仏もない、紙(カミ)より薄い人情
2.鶴(ツル)が蔓(ツル)に足をとられた
3.亀(カメ)を瓶(カメ)の中に入れることは無理だ
4.酒(サケ)の肴に鮭(サケ)の切り身
5.父さん(トーさん)がやめて、会社が倒産(トーサン)した
6.この道(ミチ)は未知(ミチ)の世界につづいている
7.蜘蛛(クモ)の巣の向こうに、雲(クモ)が白い
8.今日は晴れ(ハレ)、しかし私の目は腫れ(ハレ)ぼったい 9.あの人の意志(イシ)は、石(イシ)のようにかたい

食道発声は低音でアクセントに乏しいといわれていますが、強く高く発音するためにはお腹にぐっと力を入れ、声の出る場所にもちょっと力をこめる要領でやってみてください。 上達された人は、アクセントをうまくつけて話しています。