口腔囁語の発声法は口の中で空気をおしだすことによって、一種のささやきのような音のだしかたである。
  
 「ソーデスカ」は「ソッカ」に、「バンザイ」は「バザ」につまってきこえます。これは本当の音(つまり原音)がでていませんし母音の発音もできません。 
 その上、この方法はささやき音をだすために口内に一定の高圧を保たなければならない必要上、食道入り口部の筋肉をしっかりと閉鎖します。 
これは食道音声習得の際にこの筋肉を緩めようとする運動に相反しますし、食道発声の練習にはかえって害になります。
  
 口を開かないで声を出すときにでる。また、腹圧をかけないときにもでる。声を失った人が声を出すときにこれに陥りやすい。「か」「さ」行がよく出る。 
 東大病院の調査では、術後に独力で発声練習した7例のうち5例が口腔囁語になってしまう調査結果が出ている。
  
 食道発声になれてきて、語尾まで明瞭に発声できるようになると口腔囁語はできなくなる。 
ただし、声がでにくい朝方はこれに陥りやすいので注意が必要である。これを解決するには、発声するときの腹圧である。 
腹圧をかけないで発声すると口腔囁語に陥りやすい。
  
お腹の空いているときとか、疲れているときまた、あまり話したくないときは、腹圧をかけるには大変な力をかけます。 
そのため喉頭摘出前と同じように空気をとりこまないで発声することがしばしばあります。相手に口の動きで自分の意志が伝えられるため、ついこの方法をやってしまうわけです。 
 
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以上、昭和52年9月の日喉連の会報に掲載されていました。 
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(術後1年4カ月目)
神奈川銀冷会の発声教室の白組でこれに陥って悪戦苦闘して人がいます。そばでの会話はできます。口の動きをみているのと、かすかな発声音をとらえられるからです。だか、マイクで話をすると全然分かりません。音が出ていないのです。基本が大切です。これの予防策は腹圧です。 
 
 
  
     口腔囁語からの脱出法  |   
 口を軽く開いて、空気を吸い込みます。(はじめはうまくいかないかも知れませんが練習を続けること)そのままですぐ「あ」と声を出してみます。”吸うのだぞ”、呑み込まないぞ”と自分に言い聞かせるようにして。
  
 そして吸い込む「あ」と出す、また吸い込む「あ」というように、発声の際に舌の運動をさせないように注意します、すなわち、口蓋に舌の表面をくっつけて狭くしないこと。 
空気を吸い込むときに音を出さないこと。できないからといってあきらめてはいけません。 
 
(術後1年8カ月目) 
口腔囁語を指摘をしてもらうことです。そのためにはそれについての知識の持ったかたに接していなければなりません。指摘されれば、腹圧をかけて1語1語しっかりと発声することです。あわてるとこれに陥りやすい。
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